IFS(インナー・ファミリー・システム)とは、内的家族システムと訳されていて、近年の心理学の基盤となっています。
アメリカのリチャード・シュワルツ氏が体系立てた、実践的な心理療法で、40年の歴史と身体症状に対するエビデンスがあります。
IFSは近年、様々なコーチングやヒーリングのコースのカリキュラムに組み込まれていて、幅広いモダリティにおいて心理学的なアプローチの土台となりつつあります。
NEOエモーショナル・リリースのカリキュラムにもIFSは組み込まれています。
その主な特徴がこちらです。
・私たちは様々な副人格(パーツ)の複合体であると考える。
・それぞれのパーツにはポジティブな目的がある。
・それらを超越した存在(セルフ)が本当の自分である。
それぞれについて簡単に説明します。
私たちは様々な副人格(パーツ)の集合体である。
IFSは私たちの中には様々な副人格(パーツ)が、まるで多重人格者のように存在すると考えます。
例えば自分の中には、『痩せたい自分』がいるけれど、なぜかたくさん食べたくなったり、運動をやめたりと、それを阻害する『痩せたくない自分』もいます。
さらにはそんな痩せられない自分を辛辣に『批判する自分』がいるかもしれませんし、もしくは痩せなければ自分の価値が下がるというような『恐れを抱かせる自分』、
それでもストレスがたまると『食べる衝動を発動させる自分』もいたりします。
私たちが『自分』と思っている人格は、様々な副人格の集まりであり、それら一つ一つが、それぞれの目的と存在理由を持っています。
そしてそれらが入れ替わり立ち替わり、『自分』の運転席に座っては、私たちの中に感情を起こし、行動を誘発させています。
自分の中のどの自分が今、運転席に座っているのか。その『パーツ』は何を信じて、何をしようとしているのか?
IFSでは、そんな様々なパーツとの『対話』を通して、内的な世界を探求し、自己理解を深めていくことが出来ます。
それぞれのパーツにはポジティブな目的がある。
痩せたいのに暴飲暴食をさせるパーツは悪いパーツだ、と思うところですが、それぞれのパーツには実はポジティブな目的がある、とIFSの創始者リチャード・シュワルツ氏は言います。
それは例えば、『食べることでストレスを発散して、心を安心させたい。』かもしれませんし、
『痩せたら魅力的になって異性から性的な目で見られて危険だから、痩せてはいけない。』かもしれません。
その目的はあくまで”自分を守るため”であり、そのために選んだ方法がどんなものであれ、彼らはそれを最善策と信じて行い続けていると言えます。
そんな彼らをジャッジしたり、その行為を直そうとするのではなく、まずはその意図を理解してあげることが大切です。
そしてそのパーツが、なぜそもそもそのような思い込みを持つことになったのかを知り、それが守ろうとしている”心の傷”に寄り添っていきます。
彼らがその信念を持つきっかけとなった、トラウマ的体験があって、彼らはもう二度と同じ苦しみを味わなくて良いよう、その心の傷を守る仕事をしています。
心の傷を抱えたそのインナーチャイルドのような存在は、トラウマに囚われたまま抑圧されて切り離され、歳をとる事なく体の中にとどまり続けます。
それは私たちがあまりに辛くて感じることができなかった心の痛みであり、自分の一部です。それは体の奥からいつも、ストレスの周波数を放ち続けます。
それは潜在的に私たちの行動を制限したり、私たちに現実に対する過度なリアクションを起こさせます。
そんな分断された自分の一部達と再び出会い、その声を聞き、感情を感じてあげることで、彼らはようやく解放されることができます。
それによって私たちも、自分を無意識の領域から操作していたエネルギーから解放され、本来の自分を取り戻すことができます。
私たちはそれらを超越した存在(セルフ)
私たちは多くの副人格を持つ、複合体です。
様々なキャラクターと特性を持つ副人格たちは、それぞれの意図によって突き動かされています。
『わたし』を今、動かしている”運転席”には、常に何かしらのパーツが座っています。
しかしそれらは本来の『わたし』ではありません。
本来の『わたし』とは、パーツのように思い込みによって達成しようとする”課題”を持たず、先入観による”意見”を持たない存在です。
パーツがそれぞれ様々な色のレンズを通して世界を見ているとすれば、本来の『わたし』はレンズを通さずに、ありのままの世界を見ます。
どのパーツも運転席にいない心の状態が生まれた時にだけ、この本来の『わたし』は自ずと姿を現します。
IFSはこのどのパーツにも囚われていない自分を『セルフ』と呼び、セルフが持つ特徴的な資質を以下のように述べています。
セルフの特性・『8つのC』
・Compassion(思いやり)
・curiosity(関心)
・clarity(明晰さ)
・creativity(創造性)
・calm(落ち着き)
・confidence(自信)
・courage(勇気)
・connectedness(繋がり)
本来、私たちの本質はこのような特性を備えているのですが、あまり自分の性格やセルフイメージと結びつかないという人も多いかもしれません。
しかしそれは実は、多くの時間を様々なパーツに乗っ取られて過ごしているからかもしれません。
目の前の現実や、湧き上がる感情について、なんの先入観や決めつけもなく、ただ思いやりと感心を持ってそれを目撃することができる時、
『セルフ』の深い叡智と私たちは一つになることが出来ます。
そしてなんのジャッジもされず、安全の中でただ見守られることによって、感情は癒され、解放されていく事ができます。
IFSや、IFSを用いたセッションの中では、この『セルフ』に自然な治癒を起こしてもらえるよう、クライアントの意識を導いていきます。